第三章 遠吠えは闇に木霊する
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夜、机に向かっていると遠くからダランの朗誦が耳に届く。外に出て耳を傾けてみても声はもうどこからもやっては来ない。部屋に戻ってしばらくすると、今度は青銅を打ち鳴らすガムラン独特の調べが流れてくる。再び外に出てさっきよりもずっと慎重に耳を澄ませてみるけれど、聞こえてくるのは暗がりにまぎれた蛙の鳴き声と人気のない小道をいくバイクの音ばかり。耳の奥にかすかに残ったワヤンの名残は夜の静寂が訪れると幾度となく活気付いて賑わいを取り戻す。
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