第三章 遠吠えは闇に木霊する
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ここからはほぼ真北に位置するジャワの名峰ムラピ山が朝に霞んで淡いシルエットを遠くに残す。この半年というもの変わらずに西から東へと棚引いていたその噴煙は、季節の移ろいと共に東から西へと向きを変える。
年に二回、決まった時期に風向きを異にする季節風にのってインドネシアの地を訪れてから早幾年。帰る風をつかまえそこねて長逗留が続いている。それはまるで東西交易史の中に現れるいつかの船乗りたちのようなもの。火口からわずかに立ち昇る煙は風を受けて静かに散らばりながら西へと広がっていく。そしてその風はジャワ島を越えてユーラシア大陸の東側をすべるようにやがては日本へとたどり着く。
年に二回、決まった時期に風向きを異にする季節風にのってインドネシアの地を訪れてから早幾年。帰る風をつかまえそこねて長逗留が続いている。それはまるで東西交易史の中に現れるいつかの船乗りたちのようなもの。火口からわずかに立ち昇る煙は風を受けて静かに散らばりながら西へと広がっていく。そしてその風はジャワ島を越えてユーラシア大陸の東側をすべるようにやがては日本へとたどり着く。
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