第三章 遠吠えは闇に木霊する
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世界的な観光地として知られるバリ島では年を追うごとに田んぼや畑が消失し、ホテルやヴィラ、ロスメン(安宿)へと姿を変えている。のどかな田園風景の中で過ごす穏やかな時の流れも過去のものとなりつつあり、今では古き良き時代のバリの面影を留めるわずかばかりの田んぼを囲んで、立ち並ぶホテルやヴィラがかろうじてその名残を分ち合っているに過ぎない。既に許容量を遥かに超える数の宿泊施設が存在するにも関わらず、歯止めの利かない観光事業への投資は農業用地の減少とそれに伴う自然環境への悪影響をもたらし、生態系にも大きな打撃を与えている。このような状況を重く受け止めたバリ州政府は先日、規模の大小を問わず、これ以降バリ島全域で新規の宿泊施設の建設を認可しない方針を固めた。昨年までに発行された建設許可証については有効とするものの、今後この政策は無期限で実施されていくとの見通しである。有識者の間ではこの政策を遅すぎる決断と見る向きもあるが、何かと言っては後手に回って取り返しのつかない事態を招くことの多いインドネシアにおいては比較的速やかで適切な処置であったと考えたい。
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