第三章 遠吠えは闇に木霊する
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のどかな田園風景が広がるジョグジャカルタの郊外に突如出現したミステリー・サークル(クロップ・サークル)がいま世間で物議を醸している。直径にして70mほど、刈り入れ前の田んぼの中で横様に倒れる稲※が描く明らかな幾何学模様は、一体誰が何のために残したものなのか。現場には一般市民や警察、報道陣からなる多くの野次馬が詰め寄せ、近くの丘では高みの見物をきめこもうとした大学生が誤って転落死するなど、ちょっとした騒動となっている。その日のニュース番組では、火山泥流の氾濫や元税務局員による大規模な汚職事件など、国内の重大事件もそっちのけでこのミステリーへの特集が組まれ、「UFOの飛来した痕跡だ」「人為的に作られたものだ」との熱い議論が繰り広げられた。翌日の現場検証で人間の所業と見るに足る根拠があっさりと発見されるが、この結果を良しとしない人々が反証を試みたり、ミステリー・サークル発見前夜に奇妙な地鳴りがあったと語る近隣住民がちらほら現れたり、そうこうしている内にそう遠くない場所で新たなミステリー・サークルが出現したりするなど、事態の収拾はまだ先の事になりそうだ。
※ ある日出し抜けに田んぼの一部の稲がなぎ倒されているという現象は我が家の前でもしばしば起こる。近隣の農家の話では旋風の仕業ということで、その現象にいちいち驚く者はいない。
※ ある日出し抜けに田んぼの一部の稲がなぎ倒されているという現象は我が家の前でもしばしば起こる。近隣の農家の話では旋風の仕業ということで、その現象にいちいち驚く者はいない。
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