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第三章 遠吠えは闇に木霊する
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 断食月も残すところ数日となった辺りから徐々に帰省を始めた人々は、故郷で家族や旧友との憩いの時を過ごす。束の間の休息を終えると、再びそれぞれの仕事が待つ場所へと足早に帰っていく。土曜日と日曜日、祝日と半公的な休日を合わせれば1週間ほどになるレバランの連休を終えた仕事始めの今日、町はいつもの喧騒を取り戻し、再び忙しない日常が動き出す。ただし公務員はその限りではない。
 普段にも増してガランとした役場には、職員の数が明らかに少ない。それもそのはずで、毎年レバランの連休明けには、どこの地方自治体でも無断欠勤や計画的な病欠、にわか出張や遅刻が相次ぎ、職員の数が激減する。一年間待ち侘びたこの連休を一日でも長引かせるためにはどんな手段をも厭わないというのが彼らの身上らしい。たとえそれが公務を蔑ろにしようとも。
 公僕とは思えぬ彼らのそのような職務姿勢には随分前から多くの批判が寄せられてきた。事実、事態を重く受け止めた地方自治体の中には対処に乗り出すところも少なくなかった。例えば、無断欠勤の多い連休明けに二日続けて出勤した者に対して、特別報奨金を与えることで事態の改善を試みようとした地方自治体がある。その甲斐もあって、この自治体では翌年にはこの時期の欠勤率を飛躍的に下げることに成功したのだが、それ以降は報奨金目当てに連休明けにだけ出勤し、続く三日目以降に無断欠勤する者が後を絶たず、このやり方を見直さざるを得なくなった。そもそも普通に出勤するだけで報奨金が貰えるというのが間違っているとは誰も思わずに、報奨金が貰えるのならサボリも返上と考えるあたりからして、彼らのモラルは推して知るべしと言ったところである。またれとは逆に、欠勤・遅刻した者には減給などの罰則を科すところもあったが、軽い罰則などはまったく気にも留めなかったり、罰則を逃れるために虚偽の欠勤届を出す者まで現れたりして、かえって事態を悪化させたりもした。そんな訳で文字通り底の知れぬ公務員のモラルの根本的な改善には今以って至っていない。
 今年も各地の役場の様子がニュースで伝えられる中、昨年と大して変わらぬ光景が映し出されていく。役場の正門を閉ざして遅刻した職員が中に入れぬようにしたり、無断欠勤の多い部署の職員に連帯責任として腕立て伏せをさせたり、上司が虚偽の欠勤届を職員の前で大げさに破いて見せて説教をしたり、怠惰な職員に反省文を書かせたりと、若かりし頃の学生生活をありありと思い出させるような光景が繰り広げられている。これを見ていると、サボる方がサボる方なら、取り締まる方もまた取り締まる方といった感じもしてくる。いずれにせよ、手続きをしに役場を訪れた一般市民がなぜか閉ざされた正門を前に呆然と立ち尽くす羽目に陥ったり、職員が反省文を書き終えるのを延々と待たされたり、イライラする上司のとばっちりを受けたり、あるいは一緒に腕立て伏せをさせられたりしなければ良いなと思う。そういえば隣のおばちゃんは公務員だけど今朝出勤した様子はない。
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