第三章 遠吠えは闇に木霊する
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イスラム教国家ではないにも関わらず、8割を超える国民がイスラム教を信奉し、世界のムスリムのおよそ2割を占める2億人ものイスラム教徒が暮らすインドネシアでは、日常的な挨拶はイスラム式である。朝、昼、夕方、晩の挨拶に加えて、誰かの家を訪ねたり、少し改まった席で人と会ったり、電話で相手に呼び掛けたりする際にはごく自然に「アッサラーム・アライクム (Assalam Alaikum)」、「ワライクム・サラーム (Walaikum Salam)」の言葉が交わされる。これは「あなたに平安あれ」といった意味合いの言葉で、イスラム教徒が日常的に使う挨拶である。一昨日折り返しを過ぎたばかりの断食月のように、にわかに信仰心が高まり、一年の中でもイスラム色がぐっと濃くなるこの時期には、いつにも増してこの言葉を聞く機会が多い。一般的にはイスラム教徒の間で交わされるこの挨拶ではあるが、言葉の意味からすればムスリムかどうかによらず、誰が口にしても不自然ではない。もし何かの折にあなたがイスラム圏を訪れる機会があるのなら「アッサラーム・アライクム」と始めてみよう。あるいは「アッサラーム・アライクム」と声を掛けられたら「ワライクム・サラーム」と答えてみよう。きっと相手はあなたにより親しみを覚えてくれることだろう。余談だが、この謎めいた呪文のような言葉は、そのままカタカナ読みをせずに「アッサラーム・アライクム」は「サラマレクン」と、「ワライクム・サラーム」は「ワレクンサラム」と一口に言ってやると良い。この言葉が少しだけ覚えやすくなるばかりか、音の強弱やイントネーションがオリジナルに近くなって相手にも伝わりやすい。昔お世話になった人からの請売りではあるのだけれど。
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