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第三章 遠吠えは闇に木霊する
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 ある日を堺にそれはポツリと現れた。背丈は2尺ほど。ずんぐりとした胴体にうずくまるようにして大きな頭が乗っかっている。手足は短く、丸々としていて、驚くほどに肉付きがよい。血行も良い。顔は白くてまん丸。目も丸くておまけに鼻まで丸いが、口も耳もあるのだから、のっぺらぼうよりはとっつきやすい。やけに短く切りそろえられた前髪に比べると頭のてっぺんの毛が極端に長く、それがトサカのように逆立っている。その毛も後頭部に向かう頃には大きな渦を描きながら静かに寝そべっていく。
 耳にかかる毛をグリグリと弄んでは、思い出したように辺りを転がる。おもむろに手を振り上げて虚空を掴んでは、その感触を確かめるように同じ動作を繰り返す。目が合うと不思議そうな顔をして一瞬動きを止めるが、すぐに顔を歪めてそっぽを向く。ゴロゴロする。何にイラついているのか、忙しなくあたりを見回しては、時々吠えるような奇声をあげる。「ウーババ」、「ウーババ」と。
 ウーババは噛みつくわけでもなければ、別段悪さをするわけでもない。たまに腰掛けたり、たまに寝転んだり、たまにひっくり返ったりしている。人の時間の流れとは大よそ無関係に日がな一日そうしている。あたりを見渡しながらひどく聡明な顔をしたり、とても気難しい面持ちになったり、あるいはどうしようもなく間の抜けた表情をしたりしている。その姿は物思いに耽っているようにも思えるし、呆けているようでもあるし、世界と自分の距離を測りかねているようにも見える。けれども真意のほどは分からない。もしかしたらただ眠いだけなのかもしれない。はっきりしたことは何も分からない。
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