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第三章 遠吠えは闇に木霊する
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 世界的な観光地として知られるバリ島では年を追うごとに田んぼや畑が消失し、ホテルやヴィラ、ロスメン(安宿)へと姿を変えている。のどかな田園風景の中で過ごす穏やかな時の流れも過去のものとなりつつあり、今では古き良き時代のバリの面影を留めるわずかばかりの田んぼを囲んで、立ち並ぶホテルやヴィラがかろうじてその名残を分ち合っているに過ぎない。既に許容量を遥かに超える数の宿泊施設が存在するにも関わらず、歯止めの利かない観光事業への投資は農業用地の減少とそれに伴う自然環境への悪影響をもたらし、生態系にも大きな打撃を与えている。このような状況を重く受け止めたバリ州政府は先日、規模の大小を問わず、これ以降バリ島全域で新規の宿泊施設の建設を認可しない方針を固めた。昨年までに発行された建設許可証については有効とするものの、今後この政策は無期限で実施されていくとの見通しである。有識者の間ではこの政策を遅すぎる決断と見る向きもあるが、何かと言っては後手に回って取り返しのつかない事態を招くことの多いインドネシアにおいては比較的速やかで適切な処置であったと考えたい。
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 度重なる遅延の末にようやく今日からジョグジャカルタに新しい路線バス網トランス・ジョグジャが御目見した。既存の路線バスとは異なってトランス・ジョグジャの全車両にはエアコンが完備されており、サウナ顔負けの蒸し暑い鉄の箱の中で汗をダラダラ垂らしながら移動した日々ともこれでオサラバである。また乗客には専用のバス停での乗降が義務付けられるようになり、これまでのように道端で手をあげてタクシーのようにバスを拾ったり、走行中の運転手に降車の意思を告げて路線上の好きな場所でバスを止めることはもはやできないが、急停車を繰り返すバスを起因とする事故の軽減や渋滞の緩和には少なからず貢献してくれることだろう。更にアディスチプト空港やプランバナン寺院、市内観光の中心であるマリオボロ通りや中心部からやや離れた銀細工で知られるコタ・グデなどを繋ぐ路線網はジョグジャを訪れる観光客にとって使い勝手の良いものであるし、一律3千ルピアという価格設定も比較的お手頃と言える。当初予定していたよりもかなりずれ込んでの始業となったが、安価で快適、かつ安全な交通機関として社会に浸透していくことを期待する。
 深夜0時過ぎ、中国暦(イムレック)の新年を迎えて花火や爆竹の音が市街地からムラピ山の裾野まで響き渡る。この日、香煙立ち籠める寺院の中で熱心に祈りを捧げる参拝客の姿や、境内で催される獅子舞や龍灯舞を食い入るように見詰める親子の様子など、インドネシア各地の模様がメディアを通して報じられた。スラバヤやポンティアナックのように中華系インドネシア人が多く居住する都市はもちろんのこと、ここジョグジャでも市内に二つある寺院周辺をはじめとして、大きなショッピングモールでも数週間前からイムレック・フェアが開催され、赤を基調としたチャイナ服や注連飾、縁起物の菓子などをあつかう特設売り場が設置されて賑わいを見せている。新年にはアンパオと呼ばれる紅色の小さな封筒にお金を入れて大人から子供へ、あるいは裕福な者から恵まれない者へ手渡す習慣があり、中華系が営む大商店の前にはこの機会を逃すまいと集まった人々の群れが押し合い圧し合いしながら、そのお年玉を巡って厳しい奪い合いを繰り広げる。それはもう爆竹の音さながらの凄まじさである。
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